本
要は芸人の小話みたいな |
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Amazon 本 |
題材のアイデアはいいと思うし,構成などは巧いと思う部分もあるが,肝心の中身がほとんどない。
人物(人間観)が浅いし,文章そのものも表現力に欠ける。
意図的にスカスカにしたって可能性もあるが違うだろう。
芸人にしては頑張った方だと思うけど。
ただ,読んだことないけど(読む気さえ起こらない),他のタレント本やケータイ小説よりはマシなんだと思う。
この本,原案みたいな感じでアイデアだけ出して,ちゃんとした実力のある作家が掘り下げて綿密に書いてたらすごくいい作品になってたと思うんだよね。
個人的には,白石一文に書いてほしかった。
中学生のときに読みたかった |
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Amazon 本 |
重松清の小説って,「THE 中学生に薦めたい本」って感じ。(実際,薦められている)
娯楽性は低いけど良質で,明るくはないけど前向き。
飲み物で言うなら「ミネラルウォーター」。
Amazonのレビューを見ても,どの作品も高ポイントで「アンチ」が少ない。
料理でも,あっさり系の方が食材の質や料理人の腕が出るように,奇を衒(てら)わずに,誰もが子どもの頃に抱く感情や経験を,平易な言葉で且つ繊細に表現するのは難しく,重松清の力量が窺える。
他の作品も読みたいけど,登場人物のつらい心情や状況がしっかりと書いてあるいい本ゆえに,読むのが精神的にしんどいときもあって,次に読むのは現実が順調にいっているときがいいなと思う。
春樹始動 |
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本 映画 |
今まで村上春樹は食わず嫌いで読んでなかったんだが(厳密に言うと短篇を高校生のときにちょろっと読んで苦手だなと思った),最近,自分の中で読書に対する姿勢が変わってきたこともあって読んでみた。
とりあえず『風の歌を聴け』と『ノルウェイの森』。
突っ込みどころもあるけど,やっぱり独特の空気感みたいなものがある。
それが食わず嫌いの一つの要因でもあったわけだけど,今は心地よく感じる。
感動というよりは,巧いな,興味深いな,って感じ。
友達によると,エッセイがいいとのことだけど,数が多いのでまずは長篇と訳書から攻めていくつもり。
そういえば,『風の歌を聴け』も映画になっているらしいし,『ノルウェイの森』も今度映画になるらしいね。
映画も観たい。
『ノルウェイの森』のキャステイングはどうなるんだろうと気になっていたら,今日のニュースで出てた。
正直,イマイチ。
単に原作のイメージと違うっていうんなら,人それぞれイメージが違うから仕方ない部分もあると思うんだけど,せめて年齢くらいは10代後半から20歳に見える人を起用してほしい。
フランス人の監督には日本人が若く見えてよくわからないのかな。
村上春樹さん(60)のベストセラー恋愛小説を映画化する「ノルウェイの森」の配役が発表された。
主人公のワタナベ役は俳優の松山ケンイチさん(24)、相手役の直子は、女優の菊地凛子(りんこ)さん(28)、緑は新人の水原希子(きこ)さん(19)がそれぞれ演じる。
原作は、1960年代末を舞台に、若者の愛の喪失と再生を描く村上さんの代表作の一つ。フランスのトラン・アン・ユン監督(46)が、日本人俳優による日本での映画化を構想、日本の映画会社と共に村上さんに申し入れ、4年がかりで合意。昨年7月に製作が発表されて以来、配役が注目を集めていた。本格的な撮影は6月からスタート。2010年秋の公開を予定している。
トラン監督は「原作の中で一番感動したのは、登場人物の若さ、渇望がラジカルに描かれていたこと。映画化にあたっては、オリジナルに忠実であることが大事だと考えている」と話している。
(2009年5月13日19時34分 読売新聞)
例の如くジャケ買い |
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Amazon 本 |
サクサク読めて,早く最後まで読みたいと思わせるとか気分を紛らわせるという意味で,エンタメ小説としてはまあまあ。
ただ,内容の深みやオリジナリティ,登場人物の魅力という意味ではイマイチ。
特に登場人物が薄っぺらいというか,まともな大人の言葉遣いや行動,思考じゃないだろっていうのが結構あって,感情移入できなかった。
あと,オリジナリティがゼロ。
主人公の過去や犯人の動機,“ストロベリーナイト(ネタバレになるのでそれが何のことかは書かないが)”の内容などなど,どれもどこかで見たようなものばかり…。
文章は,表現力には欠けるけど,警察小説だし,逆にストレスなく読める軽さがよいとも言える。
読み進める快感だけあって,あとには何も残らないジャンク小説。
活字中毒でミステリ・サスペンスばっかり読んでる人にとってはいいのかな。
同じ系統だっら,桐野夏生や東野圭吾の方が数段上。
とはいえ,シリーズものは続きも読まないとなって気になるし,青春小説も書いてるようなのでそっち方面はどうなのか読んでみようと思わないでもない。
この人の本,タイトルがキャッチーで表紙もいいから,本屋に行くといつも目に留まっちゃうんだよなぁ。
竜頭蛇尾 |
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Amazon 本 |
できるだけ本は買って読む主義なのだが,薄い本やスラスラ読める本だと立ち読みで全部読めてしまうことがある。
この本もそうだった。
教師ものには興味があるのでちょっと手に取って読み始めたら最後まで読んでしまった。
掴みはOKだった。
前半部分を読んだときは,民間企業から転職した教員が学校現場の現実に直面して,ここがおかしいとか逆に世間からは批判されてるけど実際はめっちゃ大変なんだってことを描いた,『ブラックジャックによろしく』の学校版みたいな話なのかと思って期待した。
だけど,それは前半だけ。
話のメインは主人公に対する嫌がらせ(怪文書)事件を巡る3流ミステリーに・・・。
尻すぼみ。竜頭蛇尾。
後半に行くにしたがってダメになった。
最終的な落ちについても“意見としては正しい”けど“小説として面白くない”。
死ぬまでに読みたい本1001冊 |
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本 メモ |
何歳まで生きられるかとか,自分が歳を取ったときの個人的・社会的状況(経済力・健康・年金制度など)によって読めるかどうか。
原著で読む能力もその気もないので,翻訳されてないものは無理だし。
これが絶対的に正しいってわけじゃないだろうから,自分的には読まなくていいやってのも,他に読みたい本・読むべき本もある。
その中で,何を優先的に読むかって問題もある。
特に,これは世界中から選んでいるので,日本人としては読むべき日本の本が他にたくさんある。
それに,小説以外の本もあるし。
当然,読書だけが人生のすべてではない。
そう考えると,仮に80歳まで健康で,65歳定年,15年間は働かずに貯金や年金,子どもからの仕送りなどで暮らせるとして・・・,半分くらい読めればいいかなって感じ?
乾くるみ 【ネタバレ注意】 |
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Amazon 本 |
いわゆるジャケ買い。
仕掛けはちゃんとしてるけど,じゃあストーリーの内容そのものに中身があるの?っていうと特にない。
登場人物の恋愛観も微妙。
仕掛けだって,オリジナルってわけじゃないでしょ。
これとは逆ヴァージョン(違う人っぽく書いて実は同じ人だった)は,俺が知ってるだけでも2冊(『慟哭』『水没ピアノ』)あるし。
同じ人っぽく書いてて実は別人だったってのも探せばありそう。
まあ,この人も別にオリジナルであることにこだわる人じゃないだろうから,そういうしたたかさは嫌いじゃないけど。
こっちの方が『イニシエーション・ラブ』よりは面白かったな。
やっぱり仕掛けは上手い人だよね。
心に残るものや感情移入は特になかったけど,普通に楽しめるエンターテイメント小説ではあると思う。
まあ,この人の本は特に何かない限りもう別にいいやって感じ。
村上春樹スピーチ |
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Quote 本 メモ |
僕は小説家として − あるいは嘘の紡ぎ屋として、エルサレムにやって来た。政治家や外交官も嘘をつくけれど(すみません大統領)、小説家のそれは違う。
小説家の嘘は告訴されないし、またその嘘は大きければ大きいほど、賞賛も大きくなる。彼らの嘘と小説家のそれとの違いは、それが真実を明らかにするところ − 全体の中から掴み取るのが難しい真実をフィクションの世界で紡ぎ出すところ、にある。だが、小説家はまず、自分たちの嘘を明らかにするところから始めなければならない。
今日は真実を話そう。そんな日は1年のうちほとんどないことだけれど。
この賞を受けるのかどうか、僕はガザでの戦闘のことで忠告を受けた。それで自分にこう問うた:イスラエルを訪れるのは適切なことか?それは一方の立場を支持することにはならないか?
僕はいくらか考え、来ることに決心した。僕も多くの小説家と同じように、人に言われたこととは反対に行動しやすい。自分の目で見て、手に触れたものしか信じないような小説家にとって、沈黙するよりは来てみること、来て話すことのほうが自然なことなのだ。そして僕は、立ちはだかる壁とそれにぶつかって割れる卵となら、その壁がどれほど正当でまた卵がどんなに誤っていようとも、卵の側に立つ。
僕たちはみな、割れやすい殻の中にかけがえのない魂を持ち、それぞれに高い壁に立ち向かっている卵なのだ。その壁とは、人としてそぐわないはずのことに人々を強制させる「システム」のことである。
僕が小説を書いている唯一の理由は、人が持つ最も尊い神性を描き出すことにある。僕たちを巻き込む「システム」に対して、その神性のかけがえのなさで満たすことだ。− そのために僕は人生を書き、愛を書き、人々に笑いと涙を差し出す。
誰もが立ちはだかる壁に対し望みを持てない:それは高すぎて、暗すぎて、冷たすぎる、僕たちはそんな割れやすい卵なのだ。だから暖かみや強さを得るために、心を繋ぎあわせなければならない。僕たちは自分たちの「システム」にコントロールされてはならない。それを作り出したのは僕達自身に他ならないのだから。
僕の本を読んでくれたイスラエルのみなさんに感謝しています。この場が何かの意義をもつことができればと思う。僕がここにいる理由とともに。
"Novelists aren't the only ones who tell lies - politicians do (sorry, Mr. President) - and diplomats, too. But something distinguishes the novelists from the others. We aren't prosecuted for our lies: we are praised. And the bigger the lie, the more praise we get."
「嘘をつくのは小説家だけじゃありません。政治家も——失礼、大統領閣下——外交官も嘘をつきます。でも小説家は、他の人たちとは少し違っています。私たちは嘘をついたことで追及を受けるのではなく、賞賛されるんです。しかも、その嘘が大きければ大きいほど、賞賛も大きくなります」
"The difference between our lies and their lies is that our lies help bring out the truth. It's hard to grasp the truth in its entirety - so we transfer it to the fictional realm. But first, we have to clarify where the truth lies within ourselves.
「私たちの嘘と彼らの嘘との違いは、私たちの嘘は真実を明るみに出すためのものだ、ということです。真実をそっくりそのままの形で把握するのは難しいことです。だから僕たちはそれをフィクションの世界に変換するんです。でもまず手始めに、自分たち自身の中のどこに真実が潜んでいるかを明らかにしなければなりません」