「僕と鼠」3部作 + その後の「僕」 |
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『風の歌を聴け』は前にも載せたけど,シリーズものということで重複投稿。
『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』で「僕と鼠」3部作と言われている。
『ダンス・ダンス・ダンス』には「鼠」が出てこないので正式に4部作とは言われていないが,主人公の「僕」は同一人物でストーリー的にも続いているし,特に前作の『羊をめぐる冒険』を読んでいないとよくわからない話になっているので事実上の4部作と言ってもいいだろう。
ちなみに『ノルウェイの森』はこのシリーズと直接のつながりはないが,『1973年のピンボール』に『ノルウェイの森』を思わせる名前とエピソードが出てくる。
作中の時代設定を考えると,『ノルウェイの森』はエピソード1というかエピソード0的な原物語にあたると考えられる。(ストーリーは『蛍』という短篇が元)
もちろん主人公の「僕」は別人物で,整合しない部分もあるのでパラレルな関係になるのだが。
他の作品はまだ読んでないからわからないけど,村上春樹に関する文章をいくつか読んだところによると,村上作品には他の村上作品の登場人物やエピソードを思わせるような部分がよく出てくるようだ。
元々村上春樹は1作の中でもパラレルワールドと現実世界を行ったり来たりしたり,ごちゃ混ぜにしたりするのが売りだから,別の作品と作品も似ているけどちょっとズレているパラレルな関係になっているということだろう。
4部作の中では『ダンス・ダンス・ダンス』が1番気に入った。
「ユキ」という13歳の少女がとっても魅力的なのだ。
村上作品はやや難解なメタファーやパラレルが評価されていて,良くも悪くも批評の対象になっているのかもしれないが,この「ユキ」にしろ『ノルウェイの森』の「小林緑」にしろ,瑞々しい女性キャラクターがいいなと俺は思う。
それにしても,村上春樹のメタファーやパラレルをいったいどれだけの人がわかってるのだろうか?
俺は部分的にはわかるけど,よくわかってないところも結構ある。
村上春樹自身も100%分析的に読めちゃう(逆に言うと計算で書かれた)作品がいい作品だとは思わない,もっと心で感じてくれみたいなことを言ってた気がするから,わかってないのは別にいいと思うんだけど,わからない深さがあることはわかっていてほしいと思う。
でも,単に表面的にストーリーや字面を追うだけの人も結構いるんじゃないの?
村上作品の深さをわかっている人がそんなにたくさんいるなら何で他の“いい本”がちゃんと売れないの?って思う。
別に正しい読み方があるわけじゃないのかもしれないけど,表面しか読んでない人とか村上春樹しか読まない人が結構いるんだよね。
その辺がちょっと残念。
俺はとりあえず長い長い4部作を読んで,いささか村上春樹に食傷気味なので,一旦村上春樹を離れようと思う。
どうせ『1Q84』が文庫化されるまでにはずいぶん時間があるだろうし,それまでに今までの作品を読み終えていればいいので。
でも,(村上作品の中では)次に読むと決めている『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』は村上春樹の最高傑作と言われているらしいので,早く読みたい気持ちもあるんだよなー。
投稿者 fj2sp6 | 返信 (0) | トラックバック (0)